ボンボンドロップシールという商品を、まずは色違いで三枚ほど手に入れてください。
ぼくは知っていますがあなたが本当に欲しているのは手帳をきれいに飾ることでも誰かに手紙を書くことでもなくて、ただ単に満たされない指先と目の奥の渇きを潤したいだけなんですよね。
だからこのシールが必要なんです。
普通の平らな紙のシールではだめなんです。
このボンボンドロップシールは名前の通りまるで果物の果汁をそのまま固めた飴玉のような見た目をしています。
袋に入った状態のそれを机の上に置いてみてください。
照明の光を受けてつやつやと濡れたように光る丸い粒が整列しているのを見ていると、口の中に唾液がたまってくるのがわかると思います。
甘い匂いがするわけでもないのに脳が勝手にこれは美味しいものだと勘違いを起こして、胃のあたりが少しだけきゅっと縮まるような感覚を覚えるはずです。
あなたはダイエット中かもしれないし、あるいはただ単に空腹ではないだけかもしれませんが、このシールはカロリーを摂取することなくあなたの飢えを錯覚だけで満たしてくれます。
袋からシートを取り出す瞬間の、薄いフィルムが擦れる乾いた音を耳のすぐそばで聞いてください。
そして取り出したシートを親指と人差し指で挟んで少しだけ光にかざしてみるんです。ぼくが好きなのは紫と青が混じったような色合いのやつなんですが、光を通すとその色が透き通って、向こう側の景色が少しだけ歪んで見えます。
まるで小さな世界を閉じ込めた水滴を手に持っているような全能感を感じませんか。でもそれだけでは足りません。このシールの真価は指の腹で触れたときにあります。盛り上がっている部分を人差し指の柔らかいところでゆっくりと押してみてください。
硬いプラスチックやガラスのビーズとは違って、ほんの少しだけ弾力を持って押し返してくる感触があるはずです。爪の先でつつくとコツコツという音がするのに、指の腹で撫でると吸い付くような柔らかさがある。この矛盾した触り心地を確かめるためだけに、ぼくは一時間でも二時間でもただひたすらにシールの表面を撫で回すことがあります。
あなたはきっとこのシールをもったいないと思って使えないはずです。一枚でも剥がしてしまったら、その完璧な整列が崩れてしまうのが怖いんですよね。
わかります。
だから最初に三枚買ってくださいと言ったんです。
一枚は保存用、一枚は観賞用、そして最後の一枚だけが、あなたの破壊衝動を満たすために使われます。台紙からシールを剥がすとき、端っこを爪でカリカリと引っ掛けて持ち上げるときの抵抗感を指先に感じてください。そしてゆっくりと引き剥がすと、シールの裏側の粘着面が糸を引くことなくスッと離れる瞬間、あなたの背骨のあたりを小さな電流が走るのがわかるでしょう。
剥がしたその一粒を、別に何の予定も書かれていない真っ白なノートのページの真ん中に貼ってください。ただそれだけのためにノートを開いてください。
紙の上にぽつんと置かれたその一粒は、まるで最初からそこにあったかのように馴染みます。そしてあなたはまた、紙の上で少しだけ盛り上がっているその部分を指でなぞり始めます。平坦な紙の上に生まれたその異物を何度も何度も確かめずにはいられなくなるんです。
ぼくたちは大人になってから、理由もなく何かに触れたり、ただ美しいだけの色を眺めたりする時間を無駄だと切り捨ててきました。でも本当は、あなたはただ赤ちゃんの頃のように、きれいなものを握りしめて安心したいだけなんです。このボンボンドロップシールは、誰にも迷惑をかけずにその幼児のような欲求を満たしてくれる唯一の装置です。
だから、ぼくは今夜も部屋の電気を少し暗くして、机の上のライトの下でこのシールの表面がつやつやと光るのを眺めながら、指先でその丸みを確かめ続けるんです。
それだけで呼吸が深くなって、強張っていた肩の力が抜けていくのがわかりますから、あなたも早くそうするべきです。